JA全農ミートフーズ株式会社

相場

2025年1月
牛肉

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供給

1.国産

  • 11月の成牛と畜頭数は、109.5千頭(前年比100.6%)と前年並みとなった。
    内訳を見ると、和牛:58.1千頭(前年比104.4%)、交雑牛:24.5千頭(同100.3%)、乳牛去勢:10.6千頭(同95.2%)となった。
  • 12月の成牛と畜頭数は、速報値(12月31日まで集計)で92.1千頭(前年比94.5%)と前年を下回る見込みとなった。
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測(12月25日公表)によると、12月の出荷頭数は乳用種が減少するものの、和牛および交雑種の増加が見込まれることから前年同月を上回ると予測し、1月は、交雑種の出荷頭数が増加するものの、和牛および乳用種の減少が見込まれることから、下回ると予測する。
    (12月 104.9千頭(前年比107.2%)、1月 83.2千頭(同97.3%))
    3か月平均(11月~1月)では、出荷頭数98.9千頭(前年比101.3%)、生産量31.8千㌧(同101.7%)と前年を上回る予測となっている。

2.輸入

  • 11月の輸入通関実績は、全体で34.6千㌧と前年を上回った(前年比103.6%、前月比78.8%)。
    内訳ではチルド:13.7千トン(前年比94.4%、前月比87.0%)、フローズン:21.0千㌧(前年比110.6%、前月比74.2%)となった。
    輸入相手国別では、チルドは豪州、ニュージーランドが増加し、フローズンは、豪州、米国、メキシコが増加した。
    (参考:形態別相手国別輸入数量)
    チルド   :豪州7.9千㌧(前年比117.4%)、米国4.7千㌧(同70.4%)、ニュージーランド0.6千㌧(同116.8%)、カナダ0.4千㌧(同92.1%)、メキシコ0.1千㌧(同73.2%)
    フローズン :豪州9.0千㌧(前年比111.9%)、米国7.4千㌧(同116.8%)、カナダ1.5千㌧(同57.4%)、メキシコ1.2千㌧(同479.1%)、ニュージーランド0.8千㌧(同57.6%)
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、国内需要の低迷により低調に推移する中、米国産の減少が見込まれること等から、12月、1月ともに前年同月を下回ると予測し、フローズンについても輸入品在庫量が高水準であること等により低調に推移する中、米国産の減少等により、12月、1月ともに前年同月を下回ると予測する。
    3か月平均でも、チルド、フローズンといずれも下回ると見込んでいる。
    令和6年 12月 合計:35.1千㌧(前年比97.3%)、チルド:14.7千㌧(同97.9%)、フローズン:20.4千㌧(同96.9%)
    令和7年 1月 合計:35.5千㌧(前年比82.1%)、チルド:14.3千㌧(同84.4%)、フローズン:21.2千㌧(同80.7%)
    直近3か月(11月~1月)平均 合計:34.8千㌧(前年比92.6%)、チルド:14.3千㌧(同92.4%)、フローズン:20.5千㌧(同92.8%)

需要

1.家計消費

  • 総務省発表の11月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は457g(前年比102.7%)、支出金額が1,560円(同91.0%)となり、購入量は前年同月を上回ったが、支出金額は前年下回った。

2.小売動向

11月概況

  • 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の11月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,257.8億円(前年比104.8%、既存店ベース103.0%)と前年上回った。
    11月は、国産・輸入牛肉の相場高により、豚肉や鶏肉が好調となった。牛肉は、切り落としや小間切れなどが販売の中心となっているが、不振は続く。
    中旬以降、気温が低下したことにより鍋関連の動きがよく、スライスやしゃぶしゃぶ用の国産豚肉、鶏肉が好調となった。加工品は高値傾向で不振が続いている。
  • 日本チェーンストア協会が公表した11月販売概況によると、畜産品の売上は892.2億円(店舗調整後で前年比103.9%)となり、前年を上回った。
    豚肉、鶏肉の動きは良かったものの、牛肉の動きは鈍かった。鶏卵の動きは鈍かったが、ハム・ソーセージはまずまずの動きだった。

3.外食

11月概況

  • 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査11月度結果報告によると、ファーストフードやファミリーレストランを中心に各社キャンペーンや、引続き好調な訪日外国人客数にも支えられ、需要は堅調だった。気温低下により温かいメニューの注文が増え、また飲酒業態は休前日の多い曜日周りがプラスとなった。
    業態別;①ファーストフード 前年比111.2%、「いい肉の日」やブラックフライデーのクーポンが好調。気温低下で温かいメニューが好評で価格改定等での客単価上昇もあり売上伸長
    ②ファミリーレストラン 前年比110.7%、高単価のコース導入で客単価が上昇した業態はあるが、価格を抑えた業態も引き続き好調。焼肉は、消費者が価格に敏感な傾向を反映し割引セールが好評
    ③ディナーレストラン 前年比106.3%、引き続き堅調なインバウンド需要もあり、コロナ禍前に及ばないものの、夜間の宴会需要も少しずつ回復してきた
    ④居酒屋 前年比107.4%、忘年会シーズンに向けて月後半を中心に宴会やインバウンド需要も好調。宴会件数が増え、徐々に宴会規模も大きくなってきている

4.輸出

  • 11月の輸出実績は931.1㌧(前年比110.5%)と前年を上回った。台湾向け(173.1㌧、前年比95.7%)、香港向け(172.9㌧、前年比97.8%)は前年を下回り、米国向け(152.0㌧、前年比261.9%)は前年を上回った。また、カンボジア向け(88.2㌧、前年比52.9%)は前年を下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

1.在庫

  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、11月末の推定期末在庫量は147.7千㌧(前年比106.4%、前月比94.5%)と前年を上回った。
    内訳は、輸入品;136.8千㌧(前年比108.6%、前月比94.3%)と前年を上回り、国産品;10.9千㌧(同84.9%、同97.3%)と前年を下回った。
    なお、今後の期末在庫の推移は、12月末;138.5千㌧(同106.7%)、1月末;137.9千㌧(同103.0%)と12月、1月ともに前年を上回ると見込まれている。

枝肉相場

1. R6年12月速報値

  • 12月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;12月31日時点)は、和牛去勢A5が2,712円(前年比99.1%)、A4が2,463円(同101.9%)、交雑去勢B3が1,644円(同100.1%)、乳牛去勢B2が1,217円(同153.1%)であった。
  • 12月は、最需要期に向けた早めの手当や量販店での早めの牛肉売場の展開などから、月初めから需給がひっ迫し高値で推移したため、和牛・交雑とも概ね前年・前月を上回ったものの、消費者の節約志向もあり、和牛A5では前年を下回った。乳牛去勢は、輸入代替需要により価格が大きく上昇した。

2. R7年1月予測

  • 1月は、年末年始の反動やガソリン補助金の減額などにより、節約志向が一層高まることなどから、和牛・交雑ともに弱含みでの推移を見込む。
    乳牛去勢は、輸入代替需要は継続するものの、和牛・交雑と同様に消費が落ち込むことが見込まれるため、弱含みでの推移を見込む。
枝肉相場予想:東京市場【税込】
11月実績 12月速報値 1月予測 2月予測
和牛去勢「A-5」 2,624円
(99.8%)
2,712円
(99.1%)
2,500円
(96.3%)
2,450円
(95.0%)
和牛去勢「A-4」 2,349円
(105.1%)
2,463円
(101.9%)
2,300円
(99.4%)
2,250円
(99.8%)
交雑去勢「B-3」 1,573円
(103.9%)
1,644円
(100.1%)
1,550円
(102.3%)
1,500円
(97.1%)
乳牛去勢「B-2」 1,119円
(141.5%)
1,217円
(153.1%)
1,050円
(121.2%)
1,050円
(124.3%)

部分肉相場

1. R7年1月予測

首都圏仲間価格【税抜】
和牛:4等級 ホルス:2等級 交雑牛:3等級
和牛カタセット(スネなし):3,100円 ホルスカタセット(同):  2,000円 交雑牛カタセット(同):  2,500円
和牛ロースセット(ヒレなし): 5,500円 ホルスロースセット(同): 3,500円 交雑牛ロースセット(同): 4,500円
和牛モモセット(スネなし):3,600円 ホルスモモセット(同):  1,900円 交雑牛モモセット(同):  2,300円
和牛トモバラ:       1,800円 ホルストモバラ:      1,250円 交雑牛トモバラ:      1,300円

備考

国内生産量の推移(単位:千頭・%)
暦年 和牛計 交雑牛計 乳牛去勢計 成牛計
頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比
R 2年 477.2 104.2 227.8 96.2 161.6 96.2 1,047.1 100.8
R 3年 483.1 101.2 228.9 100.5 154.5 95.6 1,054.6 100.7
R 4年 490.2 101.5 248.6 108.6 140.8 91.4 1,083.1 103.0
R 5年 506.7 103.5 262.1 105.5 131.5 93.5 1,098.7 101.7
R 6年 8月 38.5 102.1 19.2 94.8 10.3 91.6 82.2 96.3
R 6年 9月 43.8 108.5 20.2 94.7 10.5 98.4 90.1 100.3
R 6年 10月 48.6 109.4 22.2 99.3 10.9 98.6 99.5 103.6
R 6年 11月 58.1 104.4 24.5 100.3 10.6 95.2 109.5 100.6

※成牛計は、乳牛雌やその他品種も含まれるため数字が一致しない

輸入量の推移(単位:千トン,%)
暦年 輸入数量合計 チルド数量 フローズン数量
数量 前年比 数量 前年比 数量 前年比
R 2年 600 97.6 262 95.1 339 99.5
R 3年 585 97.4 264 100.9 321 94.7
R 4年 560 95.4 217 83.0 343 104.3
R 5年 504 90.9 199 92.6 305 91.3
R 6年 8月 48.9 107.0 16.0 92.3 32.9 116.1
R 6年 9月 38.2 103.1 15.4 100.4 22.8 104.9
R 6年 10月 43.9 109.0 15.7 93.9 28.2 120.0
R 6年 11月 34.6 103.6 13.7 94.4 21.0 110.6

*財務省:通関実績

総務省:家計消費量(グラム,円,% )
暦年 全国1世帯当り
数量 前年比 金額 前年比
R 2年 7,199 109.8 23,677 111.8
R 3年 6,748 93.7 23,210 98.0
R 4年 6,232 92.4 22,355 96.3
R 5年 5,867 94.7 21,451 95.9
R 6年 8月 484 93.8 1,855 103.1
R 6年 9月 481 103.4 1,644 107.0
R 6年 10月 422 97.9 1,631 100.6
R 6年 11月 457 102.7 1,560 91.0
輸出量の推移(単位:トン、%)
暦年 チルド数量 フローズン数量 合計 前年比
R 2年 2,341 2,503 4,845 111.6
R 3年 3,490 4,388 7,879 162.6
R 4年 3,737 3,717 7,454 94.6
R 5年 4,222 4,199 8,421 113.0
R 6年 8月 382.0 382.9 764.8 119.7
R 6年 9月 378.6 542.6 921.1 114.8
R 6年 10月 402.7 406.4 809.1 96.7
R 6年 11月 426.6 504.5 931.1 110.5

市況の推移 : 東京市場(税込み、単位:円 /㎏、%)
暦年 和牛去勢 A-5 和牛去勢 A-4 交雑牛去勢 B-3 乳牛去勢 B-2
価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比
R 2年 2,459 90.0 2,103 87.3 1,398 85.9 924 91.0
R 3年 2,702 109.9 2,427 115.4 1,554 111.1 1,004 108.6
R 4年 2,607 96.8 2,348 96.9 1,523 98.1 1,042 102.4
R 5年 2,558 98.1 2,202 93.8 1,474 96.8 878 84.3
R 6年 8月 2,302 95.1 1,977 97.0 1,564 109.2 1,057 136.7
R 6年 9月 2,405 96.5 2,066 100.0 1,590 109.4 1,077 144.4
R 6年 10月 2,471 98.1 2,091 101.6 1,562 109.8 1,036 125.1
R 6年 11月 2,624 99.8 2,349 105.1 1,573 103.9 1,119 141.5
R 6年 12月速報値 2,712 99.1 2,463 101.9 1,644 100.1 1,217 153.1

農水省食肉流通統計(速報値は農畜産業振興機構が公表する東京市場の平均枝肉価格)