JA全農ミートフーズ株式会社

相場

2025年10月
牛肉

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供給

1.国産

  • 8月の成牛と畜頭数は、78.4千頭(前年比95.4%)と前年を下回った。
    内訳を見ると、和牛:37.9千頭(前年比98.4%)、交雑牛:19.0千頭(同99.2%)、乳牛去勢:8.3千頭(同80.4%)となった。
  • 9月の成牛と畜頭数は、速報値(9月30日まで集計)で88.3千頭(前年比98.0%)と前年を下回る見込みとなった。
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測(9月25日公表)によると、9月、10月の出荷頭数は、交雑種が増加するものの、和牛および乳用種の減少が見込まれることから、前年同月を下回ると予測する。
    (9月 89.0千頭(前年比98.4%)、10月 95.8千頭(同95.6%))
    3か月平均(8月~10月)では、出荷頭数87.5千頭(前年比96.1%)、生産量27.7千㌧(同97.4%)と前年同期を下回る予測となっている。

2.輸入

  • 8月の輸入通関実績は、全体で43.2千㌧と前年を下回った。(前年比88.4%、前月比92.1%)。
    内訳ではチルド:15.0千トン(前年比93.6%、前月比87.5%)、フローズン:28.3千㌧(前年比85.9%、前月比94.7%)となった。
    輸入相手国別では、チルドは豪州、カナダ、メキシコが増加した。フローズンは米国が増加した。
    (参考:形態別相手国別輸入数量)
    チルド:豪州8.4千㌧(前年比131.8%)、米国5.6千㌧(同67.0%)、カナダ0.5千㌧(同112.6%)、ニュージーランド0.3千㌧(同52.8%)、メキシコ0.1千㌧(同116.6%)
    フローズン:豪州13.7千㌧(前年比84.0%)、米国9.3千㌧(同107.4%)、カナダ2.2千㌧(同98.6%)、ニュージーランド2.1千㌧(同64.2%)、メキシコ0.5千㌧(同43.2%)
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、国内需要が低調な中、現地価格の高止まりや入船遅れの影響等により、ほとんどの輸入先からの減少が見込まれることから、9月、10月は、前年同月を下回ると予測する。
    フローズンは、9月は豪州産のうち主に加工用のひき材に使用されるトリミングの輸入量の増加が見込まれることから前年同月を上回ると予測する。
    10月は現地価格の高止まりの影響等から、ほとんどの輸入先からの輸入量の減少が見込まれることから前年同月を下回ると予測している。3か月平均では、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
    令和7年 9月 合計:39.2千㌧(前年比102.7%)、チルド:13.5千㌧(同87.8%)、フローズン:25.7千㌧(同112.9%)
    令和7年 10月 合計:40.2千㌧(前年比91.5%)、チルド:14.0千㌧(同89.3%)、フローズン:26.2千㌧(同92.9%)
    直近3か月(8月~10月)平均 合計:40.9千㌧(前年比93.6%)、チルド:14.2千㌧(同90.6%)、フローズン:26.7千㌧(同95.4%)

需要

1.家計消費

  • 総務省発表の8月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は494g(前年比102.1%)、支出金額が1,846円(同99.5%)となり、購入量は前年同月を上回ったが、支出金額は前年並みとなった。

2.小売動向

8月概況

  • 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の8月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,271.6億円(前年比103.3%、既存店ベース102.0%)と前年を上回った。
    相場の高騰傾向が続く中でも、お盆時期は好調に推移した店舗が多かった。それ以外の時期は、牛肉の不振と豚肉・鶏肉への需要シフトが継続している。牛肉は国産、輸入ともに高値推移が続き、苦戦傾向だが、雨が少なく休日を中心にBBQ、焼肉需要は好調。国産豚の価格高騰が続き、比較的安価な輸入豚が好調に推移した。鶏肉も価格高騰が続く中でも販売は堅調となった。
  • 日本チェーンストア協会が公表した8月販売概況によると、畜産品の売上は871.4億円(店舗調整後で前年比101.6%)となり、前年を上回った。
    豚肉、鶏肉の動きは良かったものの、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージの動きは鈍かった。

3.外食

8月概況

  • 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査8月度結果報告によると、昨年と比較して土日数が多い曜日まわりで、台風の影響も少なく猛暑が続き、冷たいメニューやビール類などの売上増に加えて、お盆の帰省需要も好調だった。夏休みの行楽や観光需要は立地によって天候に左右されたものの、外食需要はFFを中心に堅調に推移している。
    業態別;
    ①ファーストフード 前年比107.4%、新商品や猛暑で冷たいメニューやビールの販促が好調。業種によっては客数が伸び悩んだ店舗もあったがお盆時期の集客は好調。
    ②ファミリーレストラン 前年比109.8%、お盆時期を中心に帰省や行楽需要がおおむね堅調。焼肉店はお盆時期の好調と土日数が多い曜日周りから客足が戻り売上伸長。
    ③ディナーレストラン 前年比110.8%、インバウンド需要は各社で差が見られたが、お盆時期や夏休み需要が好調。大阪では、大阪・関西万博によるプラスの影響あり。
    ④居酒屋 前年比109.6%、猛暑でビール販売が好調だった。昨年は大型台風の影響で予約キャンセルが相次いだが今年は天候にも恵まれ、売上伸長。

4.輸出

  • 8月の輸出実績は862.3㌧(前年比112.7%)と前年を上回った。台湾向け(222.4㌧、前年比110.5%)、香港向け(141.5㌧、前年比146.5%)、米国向け(135.1㌧、前年比118.2%)となった。また、カンボジア向け(42.6㌧、前年比71.8%)は前年を下回ったが、不安定な状況が続いている。

在庫

1.在庫

  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、8月末の推定期末在庫量は152.9千㌧(前年比96.6%、前月比100.5%)と前年を下回った。
    内訳は、輸入品;142.4千㌧(前年比96.7%、前月比100.4%)、国産品;10.5千㌧(同95.5%、同101.9%)とともに前年を下回った。
    なお、今後の期末在庫の推移は、9月末;152.1千㌧(同97.6%)、10月末;149.9千㌧(同95.9%)と9月、10月は前年を下回ると見込まれている。

枝肉相場

1. R7年9月速報値

  • 9月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;9月30日時点)は、和牛去勢A5が2,398円(前年比99.7%)、A4が2,092円(同101.3%)、交雑去勢B3が1,508円(同94.8%)、乳牛去勢B2が1,134円(同105.3%)であった。
  • 9月の相場は、消費者の節約志向により牛肉需要が低迷する中で、和牛は出荷頭数の減少から需給が引き締まり前月を上回った。交雑は出荷頭数の増加から需給が緩み前月を下回った。乳牛去勢は、輸入牛肉代替需要が継続しているものの牛肉需要の低迷により前月と同水準となった。

2. R7年10月予測

  • 10月の相場は、食品の各種値上げにより消費者の節約志向がより強くなるものの、和牛は出荷頭数の減少により需給が引き締まることが想定され、強含みを見込む。
    交雑は、和牛代替需要が継続しているものの、頭数の増加が想定され、横ばいを見込む。
    乳牛去勢は、輸入牛代替需要が根強いものの、限定的であることから、横ばいを見込む。
枝肉相場予想:東京市場【税込】
8月実績 9月速報値 10月予測 11月予測
和牛去勢「A-5」 2,333円
(101.3%)
2,398円
(99.7%)
2,450円
(99.2%)
2,600円
(99.1%)
和牛去勢「A-4」 2,063円
(104.4%)
2,092円
(101.3%)
2,200円
(105.2%)
2,350円
(100.0%)
交雑去勢「B-3」 1,568円
(100.3%)
1,508円
(94.8%)
1,500円
(96.0%)
1,600円
(101.7%)
乳牛去勢「B-2」 1,136円
(107.5%)
1,134円
(105.3%)
1,150円
(111.0%)
1,150円
(102.8%)

部分肉相場

1. R7年10月予測

首都圏仲間価格【税抜】
和牛:4等級 ホルス:2等級 交雑牛:3等級
和牛カタセット(スネなし): 3,300円 ホルスカタセット(同):  2,500円 交雑牛カタセット(同):  2,100円
和牛ロースセット(ヒレなし): 5,800円 ホルスロースセット(同): 4,800円 交雑牛ロースセット(同): 3,500円
和牛モモセット(スネなし): 3,600円 ホルスモモセット(同):  2,400円 交雑牛モモセット(同):  2,000円
和牛トモバラ        : 2,000円 ホルストモバラ     : 1,500円 交雑牛トモバラ     : 1,350円

備考

国内生産量の推移(単位:千頭・%)
暦年 和牛計 交雑牛計 乳牛去勢計 成牛計
頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比
R3年 483.1 101.2 228.9 100.5 154.5 95.6 1,054.6 100.7
R4年 490.2 101.5 248.6 108.6 140.8 91.4 1,083.1 103.0
R5年 506.7 103.5 262.1 105.5 131.5 93.5 1,098.7 101.7
R6年 542.4 107.0 255.6 97.7 127.8 97.0 1,109.6 101.0
R7年 5月 43.1 102.0 20.1 97.2 8.9 81.9 84.6 96.1
R7年 6月 44.2 106.1 20.7 105.3 8.7 80.0 85.8 101.3
R7年 7月 53.0 103.8 22.8 101.0 9.2 80.9 99.1 99.1
R7年 8月 38.9 98.4 19.0 99.2 8.3 80.4 78.4 95.4

※成牛計は、乳牛雌やその他品種も含まれるため数字が一致しない

輸入量の推移(単位:千トン,%)
暦年 輸入数量合計 チルド数量 フローズン数量
数量 前年比 数量 前年比 数量 前年比
R3年 585 97.4 264 100.9 321 94.7
R4年 560 95.4 217 83.0 343 104.3
R5年 504 90.9 199 92.6 305 91.3
R6年 526 105.1 197 99.2 329 109.9
R7年 5月 48.4 99.8 16.2 91.3 32.2 104.7
R7年 6月 42.2 88.8 14.1 79.7 28.1 94.3
R7年 7月 46.9 95.1 17.1 90.6 29.8 97.9
R7年 8月 43.2 88.4 15.0 93.6 28.3 85.9

*財務省:通関実績

総務省:家計消費量(グラム,円,% )
暦年 全国1世帯当り
数量 前年比 金額 前年比
R3年 6,748 93.7 23,210 98.0
R4年 6,232 92.4 22,355 96.3
R5年 5,867 94.7 21,451 95.9
R6年 5,563 94.9 21,319 99.3
R7年 5月 445 93.3 1,755 97.8
R7年 6月 437 101.9 1,596 99.1
R7年 7月 438 106.6 1,588 102.2
R7年 8月 494 102.1 1,846 99.5
輸出量の推移(単位:トン、%)
暦年 チルド数量 フローズン数量 合計 前年比
R3年 3,490 4,388 7,879 162.6
R4年 3,737 3,717 7,454 94.6
R5年 4,222 4,199 8,421 113.0
R6年 4,777 5,336 10,113 119.3
R7年 5月 381.4 470.4 851.8 154.1
R7年 6月 436.7 529.3 965.9 125.1
R7年 7月 443.3 529.0 972.4 130.0
R7年 8月 384.3 478.1 862.3 112.7

市況の推移 : 東京市場(税込み、単位:円 /㎏、%)
暦年 和牛去勢 A-5 和牛去勢 A-4 交雑牛去勢 B-3 乳牛去勢 B-2
価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比
R3年 2,702 109.9 2,427 115.4 1,554 111.1 1,004 108.6
R4年 2,607 96.8 2,348 96.9 1,523 98.1 1,042 102.4
R5年 2,558 98.1 2,202 93.8 1,474 96.8 878 84.3
R6年 2,493 97.4 2,162 98.1 1,566 106.4 1,004 116.4
R7年 5月 2,486 100.7 2,266 106.8 1,625 102.8 1,177 118.8
R7年 6月 2,410 101.3 2,101 105.7 1,545 102.3 1,201 118.4
R7年 7月 2,458 104.5 2,155 109.4 1,609 103.3 1,224 119.5
R7年 8月 2,333 101.3 2,063 104.4 1,568 100.3 1,136 107.5
R7年 9月速報値 2,398 99.7 2,092 101.3 1,508 94.8 1,134 105.3

農水省食肉流通統計(速報値は農畜産業振興機構が公表する東京市場の平均枝肉価格)