PROJECT #02
プロジェクトストーリー
開発・企画営業・製造が一丸となって
JA全農ミートフーズの
NB商品の拡販を成功に導く
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嘉納 梢
加工品事業統括本部
加工品事業戦略室 -
濵田 実里
加工品事業統括本部
首都圏加工品事業部
広域量販課 -
弓田 樹
加工品事業統括本部
首都圏加工品事業部
神奈川工場 製造2課
JA全農ミートフーズはPB、NBのさまざまな商品を製造しているが、近年はNB商品の開発・販売にも力を入れている。その中でも主力商品となっているのが、国産豚ロース肉の味噌漬け。誰にでも受け入れられやすく、また地域色や季節限定の商品を企画することで、今やJA全農ミートフーズを代表する加工品として日本全国の消費者に受け入れられている。これを育て上げたのが企画や営業をリードする広域量販課、商品開発、そして製造工場の面々である。
豚肉の味噌漬けを独自のNB商品として開発
JA全農ミートフーズは全国に肉や加工品を製造・出荷しているが、NB商品、特に加工品はこれまでさほど脚光を浴びてはいなかった。そんな状況の中、4年前に誕生したのが広域量販課。「JA全農ミートフーズ」という名前を冠した商品の開発と販売強化を掲げ、全農ブランドを幅広く浸透させ、イメージアップをはかっていくために立ち上がった課だった。
ピーマンの肉詰めやハンバーグなど、JA全農ミートフーズの手がける加工品はいくつかあった。その中でもスポットを当てたのが国産豚ロース肉の味噌漬けだ。元々他社向けに似たような品を作ってはいたが、独自のNB商品として開発していこうと白羽の矢が立った。日本人であれば味噌の味を敬遠する人は少なく、ご飯に合う商品であること、また味噌ダレに漬けるだけという低い加工度であるが故に難しい製造管理となるが、こだわりの国産原料である肉の美味しさを伝えやすいことなどが理由だった。しかも、味噌はさまざまな味があり、好まれている味も地域で違うため、多彩な商品展開も考えられる。商品開発の担当者は全国の味噌の中から西京味噌、北海道、仙台、神奈川、九州の麦味噌など特徴あるものを選び、商品化。広域量販課は量販店への営業、試食販売などを試みて大々的にアピールを開始した。すると、商品の親しみやすさや焼けばいいだけという手軽さ、またご当地のさまざまな味噌の味が楽しめるということで量販店、そして消費者にも高く評価され、販売の手応えを掴んだのだった。
NB商品の流通網を整備し、
たゆまぬ営業や販促企画で認知度を上げていく
もちろん苦労もあった。味に関しては当初濃い色の味噌の方が売れるのでは?という予想に反し、実際に売り出してみると、麦味噌など甘味の強い味噌の評判がいいことがわかった。これによってその後の開発の方向性も変わっていくことになる。さらに広域量販課は立ち上がったものの、NB商品を売るノウハウがなく、仕組み作りから始めなければならなかった。工場での安定製造、全国で売るための物流整備、量販店への営業に加え、当社内部に向けても商品の認知度を高める必要があった。各地のご当地味噌を使っているとはいえ、企画を立ち上げたのは関東の一部署。そうすると地方の拠点ではすぐさま浸透という流れにならなかったのだ。営業は商品について地方の拠点にも商品の細かな情報を伝えてアピールし、商品を広めることにも気を配った。
また、量販店の販売に関しては初動が良くても継続販売が課題になった。試験販売では好評でも、営業が随時アピールしていかなければコンスタントに注文は入らない。肉の加工品は季節で売れ筋も変わり、新商品もどんどん出てくる。冬場は鍋物用の商品などの方が人気のため、シーズンの変わり目には再び営業を仕掛け、よりどりいくらというような企画販売をお願いしたり、販促で売り場を作ったりとアピールが欠かせなかった。また、種類が多いとすべてを並べるスペースを確保するのも大変で、売り場をどう確保するか、営業の手腕が問われた。
味噌ダレの特性を見極め、適した製造方法を探る
工場では製造の工夫も重ねられた。味噌は他の調味料と合わせて味噌ダレにするが、種類によって粘度が異なるため、水分が多いか少ないかで製造工程を変える必要があった。上下をシートで挟んで密封するパッケージだが、通常はシートに味噌ダレを敷き、肉を置いてさらに上からも味噌ダレをかける。しかし(麦味噌)は水分が多いため、肉の上から味噌ダレをかけると空気を抜く際、空気と一緒に吸い込まれて機械が詰まってしまうのだ。一方、粘度が高い(西京味噌)はあまり広がらないので、味噌がかかっていないところができてしまい、クレームの原因にもなりかねない。工場では味噌の種類によって肉へのかけ方を変え、最適な方法を探って品質を保つ努力が続けられた。
そのほかにも、複数の味があるのは消費者には嬉しいが、製造する際はラインの清掃作業が増える。複数の味を同じ日に製造する際、しっかり段取りを行い、作業環境を整えていくことにも心を砕いた。より多くの注文を得て、安全な環境で安定した製造を行うことが工場にとっての至上命題だった。
人気商品の誕生で弱いと言われた加工品全体もレベルアップ
こうして豚肉の味噌漬けは開発や製造、販売がそれぞれ尽力することで次第にシェアを増やしていく。開発チームは各地の味噌を探し、関東のご当地味噌を使ったシリーズや、味噌に桜や日向夏をプラスした季節限定の味も開発。現在では常時5〜8種類程度をラインナップするまでに至った。商品が広がるとともに地方の量販店でもこれをベースにPB商品を作って欲しいという要望が寄せられ、ビジネスは広がっている。スーパーはもちろん、一部の百貨店でも販売されているが、品質の高さあってこそだ。
もちろん味噌漬けだけではなく、他の加工品も味の改良を加えている。年に一度行う展示会でも「毎年良くなっているね」と訪れたバイヤーから声を掛けられることも増えた。昔はJA全農ミートフーズでは弱いと言われていた加工品に、今では国産豚ロース肉の味噌漬けという代表的な商品が誕生。それに付随して他の商品も製造の工夫を重ねてレベルが上がり、全体として高い評価を得られるまでになってきているのだ。「良くなった」という声をいただくことは、課や開発としても大きな励みになっている。そのほかにも関連会社の全農チキンフーズの鶏肉を使用した、鶏肉の味噌漬けも開発されるなど、商品はどんどん広がりを見せてもいる。これは原料調達に強みを持つJA全農グループだからこそ容易な展開とも言える。
広域量販課としてはまだまだ市場を開拓中だ。すべてのスーパーでJA全農ミートフーズの名前が入った商品が置かれるぐらいに浸透させてこそ、課ができた意味がある。国産原料の調達力や各部門が連携した商品開発力など、JA全農ミートフーズだからこそアピールできる部分は数多い。味噌漬けというヒット商品を核に、より多くの量販店、そして消費者にJA全農ミートフーズの商品を届ける。皆がその目標を掲げて己のミッションにこれからも取り組んでいく―――。