JA全農ミートフーズ株式会社

相場

2024年4月
牛肉

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供給

1.国産

  • 2月の成牛と畜頭数は、83.9千頭(前年比101.3%)と前年を上回った。
    内訳を見ると、和牛:38.9千頭(前年比108.0%)、交雑牛:19.8千頭(同100.8%)、乳牛去勢:10.4千頭(同96.8%)となった。
  • 3月の成牛と畜頭数は、速報値(3月31日まで集計)で88.4千頭(前年比95.3%)と前年を下回る見込みとなった。
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測(3月27日公表)によると、3月の出荷頭数は、全品種で減少が見込まれることから、前年を下回ると予測する。
    4月は、交雑種で減少するものの、和牛および乳用種で増加が見込まれることから、前年同月を上回ると予測する。
    (3月 86.8千頭(前年比93.0%)、4月 96.4千頭(同102.8%))。
    そのため、3か月平均(2月~4月)では、出荷頭数89.4千頭(前年比99.1%)、生産量28.7千㌧(同99.8%)と前年並みの予測となっている。

2.輸入

  • 2月の輸入通関実績は、全体で31.0千㌧と前年を下回った(前年比81.6%、前月比71.7%)。
    内訳ではチルド:12.5千トン(前年比94.0%、前月比73.8%)、フローズン:18.5千㌧(前年比75.0%、前月比70.3%)となった。
    輸入相手国別では、チルドは豪州、カナダ、ニュージーランドが増加したが、米国、メキシコは減少した。フローズンは輸入国全てで減少したが、米国の減少が顕著だった。
    (参考:形態別相手国別輸入数量)
    チルド   :豪州5.9千㌧(前年比153.4%)、米国5.7千㌧(同66.5%)、カナダ0.5千㌧(同113.0%)、ニュージーランド0.2千㌧(同181.3%)、メキシコ0.1千㌧(同77.5%)
    フローズン :豪州7.5千㌧(前年比94.4%)、米国6.0千㌧(同58.2%)、カナダ2.2千㌧(同73.7%)、ニュージーランド1.4千㌧(同82.0%)、メキシコ0.9千㌧(同93.7%)
  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、現地相場の高騰等により、米国産の減少が見込まれることから、3月、4月ともに前年同月を下回ると見込んでいる。フローズンも同様の傾向であり、
    3月は前年同月を下回ると見込まれ、4月は米国以外の主要国を含めた輸入先からの輸入量が少ないことから下回ると見込んでいる。3か月平均でも、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
    令和6年 3月 合計:32.7千㌧(前年比88.9%)、チルド:16.0千㌧(同90.1%)、フローズン:16.7千㌧(同88.0%)
    令和6年 4月 合計:44.1千㌧(前年比64.9%)、チルド:17.0千㌧(同80.6%)、フローズン:27.1千㌧(同57.9%)
    直近3か月(2月~4月)平均 合計:35.8千㌧(前年比75.3%)、チルド:15.2千㌧(同87.4%)、フローズン:20.6千㌧(同68.4%)

需要

1.家計消費

  • 総務省発表の2月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は413g(前年比93.4%)、支出金額が1,522円(同97.9%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った。(※2019年度同月比:購入量 83.9%、金額 100.5%)

2.小売動向

2月概況

  • 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の2月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,182.8億円(前年比104.0%、既存店ベース103.1%)と前年を上回った。
    価格が安定している豚肉や鶏肉に需要移行が続いているものの、全体的に前年に比べ相場に落ち着きが見られはじめ、うるう年の恩恵もあり販売は好調となった。豚肉は国産相場が安定し、小間切れやひき肉の普段使い
    の商材を中心に売上が回復。前年の鳥インフルエンザからの反動もあり、鶏肉も引き続き好調に推移した。牛肉は回復傾向がみられた店舗もあったが、全般的に伸び悩んだ。加工肉は引き続き動きが鈍い。
  • 日本チェーンストア協会が公表した2月販売概況によると、畜産品の売上は879.4億円(店舗調整後で前年比103.8%)となり、前年を上回った。
    豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きも良かった。

3.外食

2月概況

  • 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査2月度結果報告によると、訪日外国人数がコロナ禍以降で最多となるなど、引き続きインバウンド需要が好調で全体売上は前年比111.4%、2019年比では115.7%となった。訪日外国人向けの高単価メニューの消費意欲が旺盛でレストラン等の売上を押し上げる一方、お得なバリューの訴求による集客効果も大きく、引き続き外食消費の二極化が進んでいる。地方では深刻な人手不足で厳しい環境に直面しているところもある。
    業態別;①ファーストフード 前年比110.7%、2019年度比128.7% アニメとのコラボ商品や地域とタイアップした高付加価値メニューとお得メニューの併用などが奏功し、引き続き好調だった
    ②ファミリーレストラン 前年比112.8%、2019年度比106.5% お得なクーポンメニューとその逆の高価格帯商品が好調だった。焼肉店は食べ放題業態や観光地のインバウンドが引き続き好調
    ③ディナーレストラン 前年比111.8%、2019年度比 99.5% 全体的に、他業態よりインバウンドの需要増が顕著となり、好調だった。
    ④居酒屋 前年比109.5%、2019年度比 67.2% 月前半は首都圏の降雪の影響もあったが、後半は回復したところも多く、ターミナル駅周辺などの人流の多い地域の店舗が好調

4.輸出

  • 2月の輸出実績は694.5㌧(前年比108.3%)と前年を上回った。米国向け(195.2㌧、前年比228.0%)、台湾向け(114.1㌧、前年比109.4%)は上回ったが、香港向け(106.2㌧、前年比85.2%)は前年を下回った。また、カンボジア向け(75.4㌧、前年比64.1%)は前年を下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

1.在庫

  • (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、2月末の推定期末在庫量は129.1千㌧(前年比83.3%、前月比96.4%)と前年を下回った。
    内訳は、輸入品;117.7千㌧(前年比82.5%、前月比96.3%)、国産品;11.4千㌧(同92.7%、同98.3%)となり、輸入品、国産品ともに前年実績を下回った。
    なお、今後の期末在庫の推移は、3月末;120.7千㌧(同80.6%)、4月末;111.1千㌧(同69.3%)と、3月、4月ともに前年を下回ると見込まれている。

枝肉相場

1. R6年3月速報値

  • 3月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;3月31日時点)は、和牛去勢A5が2,530円(前年比98.1%)、A4が2,179円(同96.6%)、交雑去勢B3が1,546円(同107.3%)、乳牛去勢B2が877円(同94.4%)であった。
  • 3月は、和牛がインバウンド需要は好調だが量販店の需要が一部交雑牛へ移行したため、前年・前月を下回った。交雑が量販店での需要増により前月並みだったが前年は上回った。乳牛去勢は、輸入牛肉の代替需要から末端需要に動きが出てきており、前月を上回ったが前年は下回った。

2. R6年4月予測

  • 4月は、需要期であるGWを控え需要の増加に期待出来るものの、量販店の需要が和牛から交雑牛へ一部移行している流れが継続していることから、和牛は横ばいからやや強含み、交雑牛は強含みでの推移が見込まれる。
    一方、乳牛去勢は、輸入牛肉の高騰や輸入量の減少から代替需要を見込むが、限定的であることから横ばいでの推移が見込まれる。
枝肉相場予想:東京市場【税込】
2月実績 3月速報値 4月予測 5月予測
和牛去勢「A-5」 2,578円
(102.7%)
2,530円
(98.1%)
2,550円
(97.5%)
2,550円
(99.4%)
和牛去勢「A-4」 2,255円
(103.0%)
2,179円
(96.6%)
2,250円
(96.6%)
2,250円
(100.7%)
交雑去勢「B-3」 1,545円
(112.8%)
1,546円
(107.3%)
1,600円
(106.1%)
1,600円
(106.3%)
乳牛去勢「B-2」 845円
(92.6%)
 877円
(94.4%)
900円
(83.4%)
900円
(95.4%)

部分肉相場

1. R6年4月予測

首都圏仲間価格【税抜】
和牛:4等級 ホルス:2等級 交雑牛:3等級
和牛カタセット(スネなし):3,000円 ホルスカタセット(同):  1,800円 交雑牛カタセット(同):  2,200円
和牛ロースセット(ヒレなし): 5,800円 ホルスロースセット(同): 3,200円 交雑牛ロースセット(同): 4,500円
和牛モモセット(スネなし):3,400円 ホルスモモセット(同):  1,700円 交雑牛モモセット(同):  2,300円
和牛トモバラ:       2,000円 ホルストモバラ:      1,250円 交雑牛トモバラ:      1,500円

備考

国内生産量の推移(単位:千頭・%)
暦年 和牛計 交雑牛計 乳牛去勢計 成牛計
頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比 頭数 前年比
R 2年 477.2 104.2 227.8 96.2 161.6 96.2 1,047.1 100.8
R 3年 483.1 101.2 228.9 100.5 154.5 95.6 1,054.6 100.7
R 4年 490.2 101.5 248.6 108.6 140.8 91.4 1,083.1 103.0
R 5年 506.7 103.5 262.1 105.5 131.5 93.5 1,098.7 101.7
R 5年 11月 55.6 103.3 24.5 97.4 11.1 92.0 108.8 98.0
R 5年 12月 47.9 102.1 23.3 101.5 10.5 94.3 97.5 98.9
R 6年 1月 39.3 109.1 20.0 99.8 10.2 97.4 85.2 101.7
R 6年 2月 38.9 108.0 19.8 100.8 10.4 96.8 83.9 101.3

※成牛計は、乳牛雌やその他品種も含まれるため数字が一致しない

輸入量の推移(単位:千トン,%)
暦年 輸入数量合計 チルド数量 フローズン数量
数量 前年比 数量 前年比 数量 前年比
R 2年 600 97.6 262 95.1 339 99.5
R 3年 585 97.4 264 100.9 321 94.7
R 4年 560 95.4 217 83.0 343 104.3
R 5年 504 90.9 199 92.6 305 91.3
R 5年 11月 33.4 84.7 14.5 82.0 19.0 86.9
R 5年 12月 36.1 96.4 15.0 97.3 21.1 95.8
R 6年 1月 43.3 108.4 17.0 105.5 26.3 110.3
R 6年 2月 31.0 81.6 12.5 94.0 18.5 75.0

*財務省:通関実績

総務省:家計消費量(グラム,円,% )
暦年 全国1世帯当り
数量 前年比 金額 前年比
R 2年 7,199 109.8 23,677 111.8
R 3年 6,748 93.7 23,210 98.0
R 4年 6,232 92.4 22,355 96.3
R 5年 5,867 94.7 21,451 95.9
R 5年 11月 445 97.6 1,715 99.1
R 5年 12月 654 100.3 3,025 98.1
R 6年 1月 452 92.1 1,752 98.3
R 6年 2月 413 93.4 1,522 97.9
輸出量の推移(単位:トン、%)
暦年 チルド数量 フローズン数量 合計 前年比
R 2年 2,341 2,503 4,845 111.6
R 3年 3,490 4,388 7,879 162.6
R 4年 3,737 3,717 7,454 94.6
R 5年 4,222 4,199 8,421 113.0
R 5年 11月 391.3 451.6 842.8 122.6
R 5年 12月 446.1 463.3 909.4 103.6
R 6年 1月 289.5 313.3 602.8 139.8
R 6年 2月 368.7 325.8 694.5 108.3

市況の推移 : 東京市場(税込み、単位:円 /㎏、%)
暦年 和牛去勢 A-5 和牛去勢 A-4 交雑牛去勢 B-3 乳牛去勢 B-2
価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比 価格 前年比
R 2年 2,459 90.0 2,103 87.3 1,398 85.9 924 91.0
R 3年 2,702 109.9 2,427 115.4 1,554 111.1 1,004 108.6
R 4年 2,607 96.8 2,348 96.9 1,523 98.1 1,042 102.4
R 5年 2,558 98.1 2,202 93.8 1,474 96.8 878 84.3
R 5年 11月 2,628 99.2 2,235 94.0 1,514 100.5 791 70.9
R 5年 12月 2,736 101.8 2,416 100.7 1,642 103.7 795 77.3
R 6年 1月 2,595 101.6 2,315 101.0 1,515 103.2 866 93.9
R 6年 2月 2,578 102.7 2,255 103.0 1,545 112.8 845 92.6
R 6年 3月速報値 2,530 98.1 2,179 96.6 1,546 107.3 877 94.4

農水省食肉流通統計(速報値は農畜産業振興機構が公表する東京市場の平均枝肉価格)